白内障手術後の気になる症状
白内障手術は安全性が高く、多くの人に視力回復の効果をもたらしますが、術後にいくつかの不快な症状が生じる可能性があります。ここでは代表的な症状とその対処法をご紹介します。多くの症状は一時的なもので、時間の経過とともに改善します。
異物感(ゴロゴロする感じ)
白内障手術後の異物感(ゴロゴロする感じ)は多くの患者さんにみられる一般的な症状です。
主な原因と対処法
主な原因
- 切開部分の刺激やむくみ:術後に切開部分が一時的に刺激されたり一時的にむくんだりすることで、異物感や軽い痛みを感じることがあります。これは通常、数日から数週間程度で自然に治ります。
- 眼内レンズへの違和感:新しく挿入された眼内レンズに目が慣れるまで、違和感を覚えることがあります。特に、目の中に何かがあるような感覚を訴える患者さんがいらっしゃいますが、徐々に目が慣れて異物感は軽減します。
対処法
多くの場合、傷が癒えて目が慣れてくるにつれて、数日から数週間程度で自然に治ります。
ただし、以下のような場合には医師に相談してください。まれに、感染症や手術に伴う合併症が原因となる場合があります。
ただし、以下のような場合には医師に相談してください。まれに、感染症や手術に伴う合併症が原因となる場合があります。
- 異物感がずっと続く
- 数カ月経っても改善が見られない
- 強い痛みや視力の急激な低下を伴う
まぶしさやギラつき
白内障手術後、夜間に光がまぶしく感じたり、街灯や車のヘッドライトがギラついて見えたりすることがあります。
主な原因と対処法
主な原因
- 手術による一時的な影響:手術により瞳孔の反応が一時的に変化する、切開部位に一時的なむくみや炎症が生じるといった原因により、まぶしさやギラつきを感じる場合があります。時間の経過とともに手術から回復することで、これらの症状は徐々に軽減します。
- 眼内レンズへの適応:手術前に白内障で視界がぼやけていた場合など、手術によって急激に視界がクリアになり、光を「まぶしい」と感じることがあります。通常、眼内レンズを通したクリアな見え方に慣れることで、症状は軽減します。
- 多焦点眼内レンズの影響:多焦点眼内レンズは、見える範囲を広くするために、複数の距離に焦点を持つ特殊な光学設計をしています。これが原因で夜間の車のヘッドライトや街灯の光が輪のように広がって見える「ハロー」や、ぎらついて見える「グレア」を感じることがあります。多焦点眼内レンズの見え方に慣れることで、これらの症状が改善することが見込まれますが、その度合いには個人差があります。
対処法
ほとんどのケースで、これらの症状は時間とともに改善します。
ただし、以下のような場合は医師に相談してください。まぶしさの対策として、サングラスやUVカットメガネの使用を勧められることがあります。また、眼内レンズの調整が必要な場合や、追加治療が必要となる場合もあります。
ただし、以下のような場合は医師に相談してください。まぶしさの対策として、サングラスやUVカットメガネの使用を勧められることがあります。また、眼内レンズの調整が必要な場合や、追加治療が必要となる場合もあります。
- まぶしさやギラつきが、数カ月たっても改善しない
- 強い痛みや視力の急激な低下を伴う
- 異常な光の見え方(ハローやグレア)を強く感じる
目の乾燥(ドライアイ)
白内障手術後に目の乾燥(ドライアイ)を感じることがあります。
主な原因と対処法
主な原因
- 手術による一時的な影響:目の切開による炎症や眼内レンズの挿入などによる目の環境の変化が涙の質や量に影響を与え、ドライアイの症状を悪化させることがあります。多くの場合、数週間から数ヶ月で症状が改善します。
- 加齢:白内障自体が加齢に伴う疾患であるため、患者さんの多くは高齢者です。年齢を重ねると涙液の分泌が自然に減少するため、もともとドライアイのリスクが高くなっています。手術をきっかけとして、不快な症状を感じるようになることがあります。
- 術後の目の使いすぎ:手術後、目を酷使する(特にパソコンやスマートフォンの使用など)ことで、ドライアイの症状が現れることがあります。これは瞬きの頻度が減少することによって涙が蒸発しやすくなるためです。
対処法
手術後のドライアイは多くの場合一時的なものであり、数週間から数ヶ月で症状が改善することがほとんどです。また、通常は手術後のドライアイは軽度なため、適切な対策を講じることによっても改善します。主な対策としては、人工涙液(目薬)の使用、意識的にまばたきを増やす、目を休める、加湿環境を整備するなどがあげられます。
ただし、次のような場合は医師に相談してください。適切なドライアイ治療やその他の追加治療が必要となる可能性があります。
ただし、次のような場合は医師に相談してください。適切なドライアイ治療やその他の追加治療が必要となる可能性があります。
- ドライアイの症状が強く、日常生活に支障をきたす
- 数ヶ月経っても改善が見られない
- 強い痛みや強い違和感を覚える
ぼやけ・かすみ
白内障手術直後もしくはしばらくたった後に視界がぼやけたりかすんだりすることがあります。
主な原因と対処法
主な原因
- 手術による一時的な影響:手術により切開部位に一時的なむくみや炎症が生じるといった原因により、ぼやけやかすみが生じることがあります。通常、数日から数週間程度で自然に治ります。
- 眼内レンズへの違和感:新しく挿入された眼内レンズに目が慣れるまで、ぼやけやかすみが生じることがあります。眼内レンズの見え方に目が慣れることで症状が軽減します。
- 後発白内障:白内障手術後に数ヶ月から数年経ってから再びぼやけやかすみを感じることがあります。これは「後発白内障」と呼ばれる現象です。眼内レンズを挿入した水晶体の袋(水晶体嚢)の後ろ側が濁ることで、再び視力の低下や目のかすみ、光をまぶしく感じるなどの症状を引き起こす合併症です。別途医師への相談が必要になります。
対処法
ほとんどのケースで、これらの症状は時間とともに改善します。ただし、手術後しばらくしてからぼやけやかすみの症状を感じた場合は、後発白内障の可能性があります。早めに医師に相談して適切な治療を受けるとよいでしょう。
- 後発白内障の治療:レーザー治療(YAGレーザー後嚢切開術)によって比較的簡単に治療できます。レーザーを使って濁った水晶体の袋に穴を開けることで、ほぼ完全に視力を回復させることができます。この手術は痛みがほとんどなく、通常は外来で行われ、数分で完了します。
また、次のような場合は医師に相談してください。まれに、感染症や手術に伴う合併症が原因となる場合や、眼内レンズの調整が必要な場合があります。
- 数ヶ月経っても改善が見られない
- 強い痛みや視力の急激な低下を伴う
~ 注意すべき症状
– 眼科医師に相談を!~
– 眼科医師に相談を!~
非常にまれですが、緊急の対応が必要になる場合もゼロではありません。
特に強い目の痛みや頭痛、視力の急激な低下がある場合や、突然浮遊物や閃光が見えたり視野が狭くなったりする場合には、感染症や網膜疾患などの危険な合併症の可能性があります。
このような症状が見られた場合には、早急に医師に相談してください。
特に強い目の痛みや頭痛、視力の急激な低下がある場合や、突然浮遊物や閃光が見えたり視野が狭くなったりする場合には、感染症や網膜疾患などの危険な合併症の可能性があります。
このような症状が見られた場合には、早急に医師に相談してください。