眼内レンズについて 眼内レンズのキホン

POINT!
眼内レンズは白内障によって濁った水晶体を取り除いた後に眼内に挿入され、視力回復を助ける人工のレンズです。現在最も広く使用されているのはアクリル製の眼内レンズで、柔らかい素材で折りたたむことができるため、小さな切開から挿入でき、手術の負担を軽減できます。

眼内レンズの構造

眼内レンズは、白内障手術で使用される人工のレンズです。濁った水晶体を取り除いた後に眼内に挿入され、視力を回復する役割を果たします。
日本で最もよく使用されているのは、図のような構造の眼内レンズです。レンズの役割をする丸い構造「光学部」から、レンズを目の中で固定するためのアーム状の構造「支持部」が2本伸びています。その大きさは全長約13mmで光学部が約6mmです。

レンズの役割

眼内レンズの素材と安全性

現在最も広く使用されているのはアクリル製の眼内レンズです。柔らかい素材で折りたたむことができるため、小さな切開から挿入でき、手術の負担を軽減できます。また、アクリルは生体への適合性が高く、炎症や異物反応を引き起こしにくいという特徴があります。

折りたたまれた眼内レンズ 目の中で開く

また、一般的に国内で使用される眼内レンズは、厚生労働省が承認した医療機器です。術後生涯にわたって、水晶体の代わりに視覚を支え続けるもののため、厳正な審査を通過しており、耐用年数は「患者さんの余命よりも長い」と考えられています。また、厳しい基準のもと、強度、目の中での安定性、人体への有害性、無菌性などがしっかりと確認された上で、手術に用いられています。

眼内レンズの色

国内で使用されている眼内レンズの多くは黄色です。黄色に見えるのは、紫外線をカットしているのに加えて、ブルーライトも適度にカットする仕様になっているからです。これには、以下のような理由があります。

自然な視覚の提供
私たちの水晶体は完全な透明ではなく、若干黄色みがかかっています。加齢とともに徐々に黄色みが増します。眼内レンズの色を水晶体本来の色に近づけることで、より自然な色彩感覚が得られると期待されます。
まぶしさや青視症の軽減
白内障になると、水晶体は益々黄色に変色していきます。この水晶体を取り除いて透明な眼内レンズを入れてしまうと、これまでカットされていた青色の光が強く目に入ってくることで、非常にまぶしく感じたり、視界が青みがかって見える「青視症」を発症する場合があります。黄色の眼内レンズを使用することは、これらの症状を軽減することにつながります。
網膜の保護
青色の光(ブルーライト)が強力なとき、目の奥にある網膜にとって有害となることがあります。そのため、様々な網膜疾患のリスクを上昇させる恐れがあります。黄色の眼内レンズを使用することで、ブルーライトを効率的にカットし、網膜へのリスク低減が期待されます。

ただし、黄色のレンズは全ての患者さんに適しているわけではありません。紫外線カットの効果のみを持つ透明の眼内レンズが選択されることもあります。

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