眼内レンズについて 眼内レンズの種類〜単焦点、多焦点、その他の分類〜

POINT!
眼内レンズは大きく単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズに分類されます。また、様々なレンズが存在し、特徴的な構造を持っているため、術後の見え方が異なります。

単焦点眼内レンズ

ある1点の距離にピントが合う眼内レンズです。ライフスタイルに合わせ、遠くや手元など希望の距離にピントを合わせることも可能です。

遠くにピントを合わせた場合
遠方ははっきり見えますが、
近くを見るときにはメガネが必要になります

良い点と注意すべき点

◎良い点
  • 視力の安定性:単焦点眼内レンズは構造が単純なため、視力が安定しやすい傾向があります。
  • コストが低い:通常、健康保険が適用されるため、安価に手術が受けられます。
  • 見たい距離がクリアに見える:例えば遠くにピントを合わせた場合、ピントが合う遠くの風景ははっきり鮮明に見えます。
△注意すべき点
  • メガネの必要性:ピントが合わない距離(遠くにピントを合わせた場合は手元のもの)を見るときにはメガネが必要になります。
最近の技術の進歩によって、特殊構造による付加価値のついた単焦点眼内レンズが多数登場しています。
単焦点眼内レンズを使用する際にも、医師と相談の上で検討いただくことが大切です。

多焦点眼内レンズ

複数の距離にピントが合う眼内レンズです。近くが見えづらくなる「老視(老眼)」の症状の軽減が期待できるため、「老視矯正眼内レンズ」とも呼ばれます。

3焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズの一種で、焦点を3つ持つ眼内レンズです。遠方(景色など)、中間(テレビやパソコンなど)、近方(本やスマートフォンなど)の広い範囲が見えます。

遠方、中間、近方の広い範囲が見えます

良い点と注意すべき点

◎良い点
  • 広い範囲が見える:遠くから近くまで、裸眼で良好な視力が得られます。
  • メガネへの依存が減る:日常生活の全て、もしくはほとんどでメガネが不要になることが期待されます。
  • 生活の質の向上:手元の作業からアウトドアに至るまで、多彩な活動を不自由なく行えることにより、生活の質の向上が期待されます。
△注意すべき点
  • 不快な光症状:特に夜間に、光がギラついてまぶしく感じる「グレア」や、光源の周りにぼんやりとした光の輪が見える「ハロー」といった不快な症状を感じる場合があります。これが原因で、夜間運転に支障をきたすことがあります。
  • 見え方の質が低下する場合がある:はっきり見えないと感じる(=コントラストが低下する)場合があります。見え方に個人差があり、3焦点眼内レンズが合わない方もいらっしゃいます。
通常の見え方
グレア
ハロー
コントラストの低下
  • コストが高い:通常、多焦点眼内レンズを使用すると自己負担の金額が増えるため、費用が単焦点眼内レンズよりも高くなります。

焦点深度拡張型眼内レンズ(EDOF眼内レンズ)

多焦点眼内レンズの一種で、焦点を引き延ばした眼内レンズです。遠方から中間まで連続的にピントが合います。

遠方から中間までの範囲が見えます

良い点と注意すべき点

◎良い点
  • 単焦点眼内レンズよりも広い範囲が見える:遠くにピントを合わせた場合、遠方(景色など)と中間(テレビやパソコンなど)が見やすくなります。また、単焦点眼内レンズに比べてメガネに頼る頻度が減ります。
  • 3焦点眼内レンズよりも不快な光症状が少ない:3焦点眼内レンズに比べて、グレア(光のギラつき)やハロー(光の輪)などの光症状が少ない傾向にあります。
△注意すべき点
  • 見えにくい距離がある:遠くにピントを合わせた場合、読書などの手元の作業までは見えない場合があります。そのため、完全にメガネを使用しない生活を送ることまでは、多くの場合期待できません。
  • コストが高い:通常、3焦点眼内レンズと同様に自己負担の範囲が広くなるため、費用が単焦点眼内レンズよりも高くなります。

その他の分類

トーリック眼内レンズ

乱視を軽減するために使用される眼内レンズです。
一般的に、どれだけ眼内レンズの度数をきちんと合わせても、強い乱視がある場合には良い視力は見込めません。トーリック眼内レンズは、この乱視を直すために特別な形状が付加されています。ただし、全ての乱視を軽減できるわけではないので、医師の適切な診断結果に基づいて使用されます。
単焦点のトーリック眼内レンズに加えて、多焦点トーリック眼内レンズも広く使用されています。
強い乱視がある場合の見え方

非球面眼内レンズ

レンズの中心よりも外側の方がフラットになるように設計された眼内レンズです。一般的に、目の中心を通った光と端の方を通った光は1点に集まらず、少しずれた位置に焦点を結びます。これが、視界のぼやけの一因となってしまいます。非球面眼内レンズはこの焦点のずれを軽減する設計となっており、球面の眼内レンズと比べてクリアな視界を提供することができます。ただし、目の状態によっては使用が推奨されない場合があります。
現在使用されているレンズの多くは非球面設計になっており、単焦点眼内レンズ、多焦点眼内レンズに関わらず、広くこの設計が採用されています。
球面レンズの場合
レンズの中央を通った光(青)よりも端を通った光(赤)の方が手前に焦点を結ぶため、視界のぼやけの一因になります
非球面レンズの場合
レンズの端を平らにすることで、中央を通った光(青)と端を通った光(赤)の焦点のずれを軽減します

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