眼内レンズの選択
眼内レンズの選択は、患者さんのライフスタイル、視力のニーズ、個々の希望や患者さんの目の状態に基づいて慎重に行う必要があります。特に単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズのどちらを選ぶかは多くの患者さんが悩まれるポイントです。それぞれに利点と制限があり、どちらを選ぶかが手術後の視力や生活に大きく影響を与えます。
単焦点眼内レンズをお勧めする人
メガネの使用に抵抗がない人: 見えにくい距離を見るときにはメガネを使っても構わない人に向いています。
夜間運転や暗い場所での作業をよくする人: 単焦点眼内レンズはグレア(光のギラつき)やハロー(光の輪)などの症状が少ない傾向があるため、夜間運転をよくする人や暗い場所での見え方を重視する人に向いています。
費用を抑えたい人: 多焦点眼内レンズに比べて費用が抑えられるため、予算を重視する人に適しています。
多焦点眼内レンズ:
3焦点眼内レンズをお勧めする人
メガネを使いたくない人: 様々な距離のものを見る際にできるだけメガネをかけたくない人に向いています。
アクティブに様々な活動を行う人: 仕事や趣味で近くの作業(読書やスマートフォンの使用など)や中距離作業(台所仕事や友達とのランチなど)、遠くを見る作業(ショッピングやスポーツ・ウォーキングなど)といった幅広い活動をアクティブにこなす方に向いています。
多焦点眼内レンズ:
EDOF眼内レンズをお勧めする人
不快な光症状も気になるがあまりメガネを使いたくない人: 3焦点眼内レンズと比べてグレア、ハローが少ない傾向がある反面、よく見える範囲は狭い特徴があります。そのため、例えば夜間の不快な光症状は気になるが、メガネをかける頻度は減らしたい方に向いています。
メガネの使用を許容できる人: 完全にメガネを使用しない生活を送ることまでは、多くの場合期待できません。そのため、見えにくい距離を見る際にはメガネ(老眼鏡など)を使うことが許容できる人にお勧めです。

上記に当てはまる人であっても、検査や問診の結果によっては、多焦点眼内レンズが使用できない場合があります。例えば、白内障以外に目の病気がある場合などには、多焦点眼内レンズを使用するとかえって見えにくくなる可能性があるためです。 また、多くの患者さんに対して生活の質の向上をもたらす多焦点眼内レンズですが、不快な光症状の程度や得られる効果にも個人差があり、慣れるまでに時間がかかる場合があります。
眼内レンズ選択のプロフェッショナルである医師としっかりと相談したうえで、ご自身に適した眼内レンズを選択することが大切です。